第1期(2005-2009) 領域横断的な重点共同研究プロジェクト

プロジェクト3: 太陽活動の地球環境への影響に関する研究

太陽活動は、さまざまな形で地球環境に影響を与えます。本プロジェクトでは、太陽活動の変動がどのように地球環境に影響を与えてきたのかを、過去から現在にわたって検証し、その素過程を解明します。数十年以上の長期変動を理解するために、放射性同位体測定によって過去の太陽活動の変動を調べます。また、太陽による地球環境への影響のメカニズム研究のために、現在の大気で起こっている変動を、赤外線やミリ波電波により観測するとともに、レーザーを用いた室内実験によってその素過程を調べます。

リーダー:
増田公明(第3部門)
学内メンバー:
水野 亮、松見 豊、長濱 智生、高橋けんし

年度報告書 : H17 H18 H19 H20 H21

概略

太陽活動が地球環境に与える影響の検証と素過程を解明

  • ・過去の太陽活動とその地球環境への影響   

    宇宙線生成核種を用いた過去千年-二千年間の太陽活動の変遷から,地球環境の変動(気候)との相関を調べ、素過程を解明

  • ・大気中微量成分への太陽活動の影響   

    モニタリング観測から,太陽の11年周期と対応する大気組成変動を抽出し,太陽活動の影響を解明

  • ・太陽活動が地球環境に与える影響の素過程の解明   

    太陽紫外線の強度変動が,地球大気の気候変動関連物質に与える影響の化学反応素過程を解明

高感度ミリ波大気観測装置。つくば、陸別(北海道)、チリ(南米)などで、数年から十数年のタイムスケールで大気組成の変動を観測し、太陽の11年周期の影響による変動を抽出します。

中間圏オゾンの季節変動と経年変化。国立環境研究所(つくば市)で110.836 GHzの電波を用いて夜間に観測された中間圏オゾン量のデータ(左図)。高度76 km(上のパネル)と60 km(中央のパネル)に半年周期の変動が見られます。このオゾン量は1997年から徐々に増加しており、太陽活動のMg?指標indexとよく相関しています。

屋久杉の年輪。樹齢700年の屋久杉(左図)のような樹木年輪中の放射性炭素14Cの濃度から、過去の太陽活動の様子を知ることができます。さらに、過去2000年間の太陽活動の変遷を解明し、地球気候の変動との相関を調べます。

レーザーを用いた反応過程分析装置。太陽活動変動の顕著な現れである太陽紫外線の強度変動が大気組成に与える影響を解明するために、室内実験により紫外短波長域での光化学反応の素過程を明らかにし、モデル計算に反映させます。

過去400年の太陽黒点数の変化。太陽黒点数は太陽活動度の良い指標です。平均11年周期で変化しながら、100年のオーダーでも変動しています。17世紀後半の太陽活動が低下した数十年の期間はマウンダー極小期と呼ばれ、地球気候の寒冷化(小氷期)との関連が指摘されています。